目的
神経内科では一般内科医としての知識の上にたち、その上に神経内科専門としての技量を磨くことを目的とし研修を進める。一方、科の特性上、脳神経外科や整形外科、リハビリテーション科と密接な連携の元に研修を進める必要があるし、幅広い研鑽が必要である。
日常診療にあっては頭痛、眩暈、しびれなどの訴えに適切に対処し、脳血管障害、特に脳梗塞の急性期から慢性期にかけてのmanagement.さらにパーキンソン病、アルツハイマー病などを含めた神経難病・変性疾患の診断、治療法などについて学ぶ。
研修の内容
1)研修の対象とする疾患と領域
イ)神経学的診察法
- 病歴の取り方と診察の指針。
- 意識障害の診かた。
- 脳神経領域の症状の診かた。
- 構音障害、運動麻痺、運動失調、不随意運動、感覚障害の診かた。
- 自律神経障害の診かた。
ロ)補助検査法
- 髄液検査
- CT、およびMRI
- 電気生理学的検査
- 神経心理検査
- 脳血管撮影
ハ)疾患各論
- 脳血管障害:TIA、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血
- 感染疾患:髄膜炎、単純ヘルペス脳炎、Creuzfeldt Jacob 病
- 痴呆性疾患:Alzheimer病、前頭側頭痴呆など
- 変性疾患:運動ニューロン疾患、Parkinson病、脊髄小脳変性症ほか
- 末梢神経疾患:多発ニューロパチーなど
- 筋疾患:重症筋無力症、ミオパチーなど
- 脱髄性疾患:多発性硬化症、CIDPなど
- 機能性疾患:てんかん、頭痛など
- その他:内科疾患に伴う神経症状など
2)研修病院
- 研修設備の概要
汐田総合病院4階、7階病棟が急性期疾患患者診療を行い、約25床のベッドを担当する。5階病棟は回復期リハビリ病棟の役目を担う。平成17年4月現在、収容している設備の主なものは、CT、MRI、脳波計、誘発反応記録装置、血小板凝集能測定装置などがある。 - 研修指導体制
日本神経学会専門医である神経内科oben3名が担当する。また、脳神経外科医(日本脳神経外科学会認定専門医3名)や整形外科医(日本整形外科学会専門医2名)と随時連携指導を行う。昭和大学神経内科との密接な連携も当科の特徴であるので、毎週金曜日は昭和大学神経内科の教授回診、電気生理検査、症例検討会に出席し、研修指導を受けることとする。 - 研修医の週間予定表
- 病棟で主治医となることにより、症例経験の蓄積をします。チームで総合的にチェックし、指導します。
- 汐田総合病院全体の当直や内科・神経内科救急当番の業務を行うことにより神経救急の研修が可能です。豊富な症例があり、実践力も身につきます。
- 院内でも抄読、症例検討のほかに、適宜学習会を行い、旺盛に学習します。
– 月 火 水 木 金 土 – 朝会
●8時半~
脳外・神内カンファ–
–
–
–
午前 病棟
病棟
病棟
病棟
昭和大学
●教授回診病棟
午後 ●13時半~
7階、4階病棟カンファ●15時~
神内総回診、カンファ病棟
病棟
●16時~
電気生理検査昭和大学
●14時~
電気生理
検査(中島医師)●15時半~
抄読会
症例検討会病棟
- 各種カンファレンス
- 症例カンファレンス
脳神経外科と合同で、新入院患者、問題奨励などについて検討します。 - 神経内科病棟回診及びカンファレンス
入院患者の病状、問題点の把握、治療方針の決定を行い、研修指導の一環として機能するだけでなく、チーム医療の充実を保証します。 - 病棟カンファレンス
4階病棟、7階病棟での神経内科入院患者様につき、医師、ケースワーカー、リハビリスタッフ、看護師などで病状、治療方針、社会的背景、今後の方向性などにつき、集団的に検討します。民主的集団医療の推進の場です。 - 抄読会
脳神経外科と合同で、脳神経系全般のトピックとなりうるような英文を読んでいきます。意見交換を行い、知識と見聞を広めます。 - 院外の症例検討会
昭和大学神経内科症例検討会:毎週金曜
汐田神経心理カンファレンス:毎月第3水曜日
東京大学神経病理学教室主催カンファレンス:毎月第1金曜日
紅葉坂カンファレンス(神経放射線):年2回
旗の台カンファレンス(神経心理):不定期
臨床神経学ビデオフォーラム:年2回
- 症例カンファレンス
- 各種学会・研究会参加
日常診療だけでなく、各種学会にもできるだけ参加し、勉強、研修の場とします。また単なる参加だけでなく、発表や論文記載などの旺盛な学術活動を科の特徴としていますので、最低でも年に1回は発表を心がけるものとします。(日本神経学会総会、地方会など)
<関連学会>
日本神経学会、日本神経学会関東地方会、脳卒中学会、日本内科学会、日本内科学会関東地方会、日本高次脳機能障害学会、日本神経心理学会、日本神経治療学会、日本神経救急学会、日本リハビリテーション学会ほか - 院外研修
研修目的に沿い、千葉大学神経内科(電気生理学)、東京大学脳研(神経病理)等の経験があります。今後、神経内科内での専門分化と内容の向上を検討し、更に院外研修の場を拡大していく予定です。
後期研修での獲得目標
1)一般的目標
- 神経所見のとり方の習得
意識状態、髄膜刺激症状、脳神経系、運動系、感覚系の見方を一通り、身に付け、自律神経症状、高次脳機能障害などについても専門的評価が行えるようにする。 - 局所診断に必要な解剖学的基礎知識の習得
- 高次脳機能障害の評価の習得
- 神経内科疾患の診断と治療の習得
- 内科疾患に伴う神経疾患、整形外科や脳外科とオーバーラップする疾患の診断、治療の習得
2)技術的獲得目標
神経学的診察法、頭部・頚椎・胸椎・腰椎単純写真の読影、頭部CT・MRIの読影脳血管造影の適応、手技、読影、誘発脳波の意義と主要所見の理解、頚椎ミエログラフィーの適応・手技・主要所見の理解、筋生検・神経生検の適応・手技・主要所見の理解、筋電図・誘発筋電図・神経電導速度の適応・手技・主要所見の理解、高次脳機能障害検査法(WAIS-R,WAB,RANDTほか)の手技とと評価、基本的リハビリテーション技術など、能力に応じて習得していく。
専門医資格取得について
神経内科を専門とするのであれば、日本神経学会認定神経内科専門医取得がスタンダードです。日本内科学会認定医取得の上、是非神経内科専門医を取得してください。医師になって3年目で日本内科学会認定医が取得できれば、当院は日本神経学会教育認定施設のため、当院での神経内科研修3年で専門医試験が受験できます。
(最短、卒後6年)また脳卒中専門医も日本脳卒中学会認定研修教育病院のため、取得可能です。いずれも詳しい受験資格はそれぞれのホームページを参照して下さい。(http://www.neurology-jp.org/、http://www.jsts.gr.jp/index.html)